都知事選と解散総選挙で、反原発運動がどう闘うのかか問われる真っ只中で、福島原発事故の当事者である東電の犯罪を明らかにすることは、非常に重要な視点を私たちに与えるものになりました。
東電は、
今だ、事故の責任を認めたことがないこと
東電の責任免除システム
東電がいかに国家の中枢に位置するのか
東電を批判し、責任を取らせることがが、福島原発事故によってあらわになったこの国や政治、そして私たちのあり方、人間性を取り戻し、社会を変えていくことにつながる、そのことを確信することが出来ました。
放射能に襲われている福島の子どもたち、福島の大地とそこに生きる人々に思いをはせ、私たちは自分が絶対に解決しなければならない問題として、東京電力に責任をとらせる運動に取り組んでいきましょう。
【上映した動画を紹介】
【講演レジュメを公開します。
みなさん、東電の本性にせまってください。
広めてください。
大問題にしていきましょう】
「東京電力の責任を問う」
週刊金曜日 成澤宗男
Tはじめに
事故を起こした当事者の責任として、通常は原状回復が課せられる。だが原発事故がいったん起これば、一企業どころか政府も誰も原状回復などできない(最低でも250兆円必要)。放射能で汚染された広大な山林をどうやって除染するのか。日々放射能が流れ込む周辺海洋を、どうやって浄化するのか。原発事故は、責任など取りようもない桁外れの甚大な被害を、予見しがたいほどの長期間にわたって及ぼす。レベル7の原発事故なら、まともに賠償と復旧事業費に取り組んだら国家の財政破綻も招きかねないような危機的事態になる。結局、重大事故が起きれば業者も政府も責任を取りようがないのが原発であるならば、最初から原発に手を出すべきではなかった。
したがって原発事故の最低限の政府と業者の「責任の取り方」(責任が取れないからといって、何もしなくていいのではない)とは、まず何よりも自分で責任を取りようがなくなる事業にはもう手を出さない(原発と永遠に縁を切る)と誓ってもらうことから出発するしかない。しかし、これすらやろうとしないのだから、「3・11」で何を経験したというのか。そもそも東電は、「事故を起こした責任者」という意識が乏しい。彼らにとって事故原因は「予測不可能な天災」であって、未だ公式には人災とは認めていないからだ。
U常識的企業の「責任の取り方」と、実際東電がやっていること
まず自社に責任があることを認める→「社内事故調査の最終報告書」(2011/6/20)で、原因は「想定外の津波」と断定。経営陣の責任は一切認めず。
責任者が責任を取る→2011年6月の株主総会で、清水社長は退任したが、最高責任者の勝俣は留任し、その後に日本原子力発電に天下り。取締役と監査役16人中、8人がグループ企業のトップに。これまで、引責辞任も司直の一切の事情聴取も無し。
出来る限り被害者に弁償する→変電設備約8400億円、配電設備約2兆2000億円、送電設備約2兆1000億円、計5兆1400億円を温存。地域独占継続。
現状回復→廃炉の費用は、第1〜第4号機のみで、たった1兆3243億円。5号機、6号機、そして第2原発は再稼動させるつもりだ。巨大規模で進行する水質汚染は対策ゼロ。
二度と事故を起こさないための対処→経営再建の柱が再稼動。これほどの大事故を起こし、「安全神話」も崩壊して未だ原因も不明ながらまだ再稼動に固執。
銀行は「貸し手責任「をとり、債権を放棄する→2012年春に総額約1兆円を追加融資。その条件が、何と原発再稼働と電気料金値上げ!銀行と一体の財務省は、債権放棄で銀行に損をさせたくない。
↓
弁償という社会的責任を果たすのであれば、東電を破たん整理して@最高の資産である発電と送電に所有権を分離し、資産売却で費用を捻出A銀行の債権放棄―しかない(プラス原子力予算の組み替えも必要)。だが、責任者の東電も政府も、地域独占を死守するために絶対にやらない。
U 責任追及としての裁判
A 株主代表訴訟(2012/3/5、45人)
@20年前から、株主総会で脱原発・東電株主運動が地震対策、津波対策などを提案、また老朽化している福島第一原発の早期廃炉を提案してきたにも拘らず、取締役会として 反対を続けてきた。
A2002年7月に発表された文部科学省の地震調査研究推進本部の地震調査委員会の見解、2006年9月に改定された原子力安全委員会の「新耐震指針(発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針)」など数々の警告があったにも拘らず、対策を講じなかった。
B福島原発事故を起こしても、経済性を優先するあまり、海水の注入が遅れたり、
ベントが遅れたことで膨大な放射性物質を大気中のみならず、海洋にまで放出させ多くの人々、そして生物、植物を被曝させた。外部電源を確保するための電線も、耐震設計がなされず。東電歴代の取締役27人は、全資産を売却して5兆5000億円を会社に返却せよ。
B 第一次東電告訴(2012/6/11、1324人。8月に受理)
@1997年に地震学者の石橋克彦・神戸大教授(当時)が論文で、大地震と原発事故が同時に発生する破局的災害の危険を指摘していた。しかし、国の原子力安全委員会は2006年に原発の耐震設計審査指針を改訂した際、担当委員の1人だった石橋氏の警告を無視して、地震による原発への影響を過小評価し、具体的な津波防護策も盛り込まなかった。
A2008年に東京電力は、福島第一原発で想定される津波の高さが15メートルを超えるとの試算を出していた。 しかし、対応する防潮堤の設置に数百億円の費用と4年の期間がかかるため、同社幹部は建屋や重要機器への浸水を防ぐ対策を取らなかった。2010年に原子力安全委員会が、津波を安全対策上の考慮に入れるよう定めた「手引き」を作ったが、東電はそれでも対策を怠り、原発事故を未然に防ぐことを妨げた。
B福島第一原発の事故が発生した後、国や原子力安全委員会は、SPEEDIなどで放射性物質による汚染が広範囲に及んでいることを早期に察知していながら、とくに子どもたちへの防御策を積極的に取らずに放置した。学者らも、県内の汚染実態を把握していないにもかかわらず、「大丈夫」「安全」との見解を流し続けた。
C第二次東電告訴(2012/11/15約1万3262人)
東電の勝俣恒久前会長ら役員、原子力安全委員会、県の放射線健康リスク管理で助言してきた福島医大の山下俊一副学長ら33人の刑事責任を告発。
東電や国は津波対策を怠り、今回の事故を発生させ、事故後の避難対策や情報開示も不十分で、多数の住民を被ばくさせた。
V 官僚・野田一派・国家権力ぐるみの「東電責任免除」システムのからくり
最大の問題は、東電のモラル欠如ではない。官僚・野田一派が、以下のような国家権力ぐるみで東電に本質的な責任を取らせない巨大なカラクリを作ってしまった構造的腐敗にある。銀行(財務省)の利益を守り、東電からおいしい思いをするためだけに。
@「東京電力に関する経営・財務委員会」の報告(2011/9/30)
下河辺和彦(委員長) 弁護士
引頭麻実 株式会社大和総研執行役員
葛西敬之 東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
松村敏弘 東京大学社会科学研究所教授
吉川廣和 DOWAホールディングス株式会社代表取締役会長
コスト見積もりは、賠償4兆5402億円、除染ゼロ、廃炉1兆3243億円(福島第1の1〜4号機だけ)。まともに計算したら債務超過になるので、コストを過小評価し、銀行の追い貸しができるよう資産超過に改ざん。本来あるべき、「破綻処理して全資産を賠償に当てる」という方法を拒否。
「第三者委員会」と報じられたが、「政府の御用委員会」。事務局を経済産業省が牛耳り、事務局長は産業構造課長などを歴任し、経産省の敏腕官僚として知られた西山圭太。
A原子力損害賠償支援機構法
可能な限り資産から賠償金を支払わせず、つまり破綻処理せず、東電に「贈与」「交付」という形で資金を出し、東電が返却。結局、電気料金値上げ=国民負担と再稼働で返却。事故を起こした東電の無限責任を実質免除。
● 原子力損害賠償支援機構(原子力事業者が損害を賠償するために必要な資金の交付その他の業務を行うことにより、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施を確保)の人事は、「東京電力に関する経営・財務委員会」の横滑り。
下河辺(委員長) 弁護士
引頭麻実 株式会社大和総研執行役員
葛西敬之 東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
川端和治 弁護士
田中知 東京大学大学院工学系研究科教授
前田匡史 内閣官房参与
松村敏弘 東京大学社会科学研究所教授
吉川廣和 DOWAホールディングス株式会社相談役
B「新生」東京電力(下河辺和彦会長)
A「総合特別事業計画」(2012/5/9経済産業省認可)
電気料金10・28%値上げ。柏崎刈羽原発の2013年4月再稼働。
政府の移住制限区域が年20ミリシーベルトからであることを利用し、それ以下は住民全員が「帰宅する」ことを前提として賠償費用を計算。4344「億円削減。除染費用も計上せず。
B「再生への経営方針(2013〜2014)」(2012/11/7)
●「 被害者への賠償と高線量地域の除染費用を合計すると、原子力損害賠償支援機構法の仕組みによる交付国債の発行額5兆円を突破する可能性がある。さらに、低線量地域も含めた除染、中間貯蔵費用などについて、同程度の規模の費用が、今後、追加で必要となるとの見方もある」
「 廃止(注=廃炉)措置関連費用は……追加となる研究開発については国の主導を仰いでいるが、今後、燃料デブリの取出し、最終処分まで含めた全費用はこれまでの引当額よりもさらに巨額にのぼる可能性がある」
「被災地の復興を円滑に進めていくために今後必要と見込まれる費用は、一企業のみの努力では到底対応しきれない規模となる可能性が高い」
↓
「カネをこれだけちょうだい」と要求する側と、「カネをこれだけ出します」と決定する側と、「カネを頂いてこれだけやりました」という側が、何と同一人物!
その挙句、今その人物が言っていることは、賠償と除染だけで10兆円になるとして「やっぱりダメでした。カネが足りないから政府が何とかして」!これほど前代未聞のデタラメをやらかした野田一派と黒子の経済産業省の官僚を誰も批判しない社会は、正気ではない。
W 結論
問題は、東電だけではない。命よりも、カネと権力が優先されるこの国の恥ずべき行動様式は行政・企業全体を見ると何の反省もないまま変わっていない。政府と銀行、東電はグルになり、絶対に本来の責任の取り方=破綻処理をさせない。このままだと、また次の「3・11」が繰り返されよう。
「3・11」とは、戦後飽きもせずに自民党という汚職常習犯で土建屋をはじめとする業者団体の政治ブローカー集団、そして世界有数の地震多発国に原発を電機業界とゼネコンの政治資金(賄賂)と引き換えに50数基も建設した利権屋を与党にし続けた、有権者の恐るべき無知と無責任が積み重なってもたらしたのだ。
だが、現在最も悲劇的であるのは、「3・11」が起きたことそれ自体にあるのではない。責任を取れないような事態が起きるのだということを学んだはずなのに、人々は野田の「収束宣言」にさほどの疑問は持たず、官僚と企業は再稼動による原発利権の維持に狂奔し、福島県の行政は人口流出による税収減=地方公務員の収入減を避けたいがためだけで、放射能にまみれながら「回復」と「復興」しか言わない。「3・11」から何も学んでないし、現状を直視せず、真の対策も講ぜずに小手先だけで逃げようとしている。典型は今も国会承認ができていない「原子力規制委員会」で、あれほど批判された業者・御用学者・役人が馴れ合う原子力ムラがごっそり温存された。
【12月10日東電申し入れ行動
新橋アクションの東電 弾劾の申し入れ書を紹介(当日15時に東電本店前にて)】
東京電力殿
福島原発事故の責任と柏崎刈羽原発再稼働撤回を求める申し入れ書 原発とめろ! 新橋アクション
福島第一原発における事故ならびにその後の対応において、東京電力が犯した罪を認め、謝罪し、その責任を真に果たすことを、私たちは求める。
私たち「原発とめろ!新橋アクション」は、福島第一原発事故を引き起こした東京電力の責任を追及する行動東電本店直撃デモと学習会を昨年の原発事故の直後から5月以来毎月行ってきた。東京電力は本店前に響き渡る私たちの怒りのシュプレヒコールが聞こえたか。私たちの声に向き合うつもりがあるのか。率直に聞きたい。
私たちを突き動かす思いは、何よりもまず福島の人たちの怒りだ。原発さえなければ、地震と津波にのまれた後でも救助されて死なずにすんだ人がいた。病院から運び出されてバスの中や避難所で死なずにすんだ人がいた。牛や畑や仕事や家や家族や友人を奪われ孤独のなか自ら命を断たずにすんだ人がいた。原発によって東京電力は、どれだけの命を奪ったと思うのか。
今なお、16万もの福島県民が避難を強いられる一方、多くの子どもたちの体には甲状腺などに深刻な異常が現れはじめている。残るも地獄、避難するも地獄の苦しみを全身に受け、全人生を通して放射能と向き合うことが強制されている。原発によって東京電力は、どれだけ多くの命を危険にさらし、人生を踏みつけにしていると思うのか。
生活の糧である大地と海への放射能汚染は深刻な状況と言わざるえない。命を返せ、大地を返せ、ふるさとを返せ、人間をかえせ、すべてを返せ! 取り返しのつかない大罪を犯し、再生不可能な無限大というべき被害を生み出している現実を見据え、謝罪し、持てるものすべてをもって償うべきだ。東京電力は、福島の人たちと私たちの怒りに向き合え。
東京電力は、原発事故発生直後から情報の隠ぺいと事実の否認を続けた。これにより人々に重大な危険性はあることが覆い隠された。東京電力は重大な情報を出さないで隠していたのである。また、東京電力はマスコミなどへも圧力をかけて被害を幾度となく否認し続けた。
国会事故調によれば、「当委員会は『過酷事故に対する十分な準備、レベルの高い知識と訓練、機材の点検がなされ、また、緊急性について運転員・作業員に対する時間的要件の具体的な指示ができる準備があれば、より効果的な事後対応ができた可能性は否定できない。すなわち、東電の組織的な問題である』と認識する」として、福島第一原発の事故の原因、被害の拡大について東京電力の組織的な問題を重要視している。そして、電力の安定供給が電力会社の責務でありながら、こともあろうに電力不足を国民に煽り立て、原発がなくても電力は足りているにもかかわらず、姑息にも電力不足を装い、原発の再開を迫っていることは許せない脅迫行為である。
そして、今、私たちの怒りは倍増している。東京電力が柏崎刈羽原発の再稼働を目論んでいるからだ。原発によって大罪を犯した東京電力が、再び原発を運転させるなど言語道断の事態だ。
東京電力は、現在の経営方針を「事故の責任を全うし、世界最高水準の安全確保と競争の下での安定供給をやり抜く」ことだなどという(『再生への経営方針』11月7日)。その意味は、福島への賠償を口実に原発再稼働で利益をあげ、企業として生き残る、と言っているのにすぎない。
事故収束と廃炉の見通しすら立たず、被曝労働を強いられる労働者の健康も生活も守れず、事故の被害を償うことすらできない東京電力が、何で「責任を全うし」だとか、「世界最高水準の安全確保」などと言うことは、再び国民をだまし、取り返しのつかない犯罪である。
また、最近になって、東京電力自らが「津波のリスクの検討を公表すると運転停止につながる」「過酷事故対策は訴訟上のリスクとなる」「反対運動が勢いづく」などと考えていたと、言い出した(10月12日付『原子力改革の進め方』)。福島第一原発事故は、原発の危険を百も知りながら目先の利益と原発の維持を最優先させてきた確信犯によって行われた犯罪だ。
原発とすべての核に「世界最高水準の安全」などない。もうこれ以上、ウソを重ねるのはやめるろべきだ。柏崎刈羽原発をはじめとするすべての原発の再稼働をやめろよ。東京電力が所管するすべての原発をただちに廃炉にするよう要求する。
私たち「原発とめろ!新橋アクション」は、東京電力が犯した罪を認め、謝罪し、その責任を真に果たすまで、今後も行動を続けることをここに宣言する。
【12月10日 15時 東京電力本店前に集まって!!
一人一人の怒りをぶつけよう、飛び入り大歓迎!!】
◎後日、講演会の動画をアップします。お楽しみに!!